風の便り16
5月にはいると、サツキやツツジがどこの庭でも満開です。私の散歩道に咲く5月の花で、私が毎年どうしても見ておきたい花が二つ、三つあります。一つは西川土手のアザミの花です。アザミは北海道から九州まで日本中に咲く野の花です。濃い紫の花のつぼみが棘のある葉っぱに守られている姿には、なにか気品をかんじさせ、私は一人で野草の女王と思っていました。五月になるとなぜこの花を見たくなるのだろうか。むかし、北海道の炭坑ではたらいていた20代のころ「アザミの歌」という歌謡を覚えたのです。山には山の愁いあり、海には海の悲しみや、まして心の花園に、咲きしアザミの花なれば・・・たぶん、そのせいでしょう。
西川の土手道をくだり、芦屋砂丘を横切って、緑ヶ丘、高浜町の町営団地付近にくると、あたりいっぱいに甘い香りがただよってきます。砂丘のきわにアカシヤの木が街路樹のように並んでいて、白い花を咲かせているのです。五月になると私がこの白い花を見たくなるわけ、そうです。むかし、北海道の炭坑ではたらいていた20代のころ、やはり「白い花が咲いてた」という歌謡をよく口ずさんでいたのです。白い花が咲いてた。ふるさとの遠い夢の日、さよならと言ったら、木霊がさよならと呼んでいた・・・・たぶん、そのせいでしょう。
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